仏果を得ず ・ 風が強く吹いている

仏果を得ず

仏果を得ず

 
風が強く吹いている

風が強く吹いている

ともに三浦しをんの本。
この人の本は「まほろ駅前多田便利軒」以来。
その時も、男の世界が好きな作家だな〜とうすうす思っていたが、今回の2冊で確信した。


「仏果を得ず」は伝統芸能である文楽の世界で生きる若者の話。
文楽は歌舞伎といっしょで、男社会。伝統芸能に身を置きながらも、普段はイマドキのフツーの男といった感じの主人公や、人間国宝のお師匠さんなど、それぞれのキャラクターが面白かった。
文楽の作品もちょこっと紹介されていて、ちょっと興味を持った。


「風が強く吹いている」は、おんぼろアパートで一緒に暮らす、陸上とは無縁だった大学生たちが箱根駅伝を目指すことになり、予選会を突破し本大会に出場してしまう、という話。
陸上の経験者だが、故障してやめてしまったハイジが、アパートの住人が10人そろったところで、駅伝を目指そうと、強引に提案。
メンバーの中には、高校時代有名なランナーだったが、暴力事件を起こしてしまった走(かける)もいた。
ハイジと走、この二人を軸に話が進んでいくのだが、おとぼけな双子の兄弟や、花の2区を走ることになったフツーの黒人留学生など、他の素人メンバーも個性豊かだった。

最後の箱根駅伝のシーンは1区ごと丁寧に書かれていて、テレビで見るような箱根のシーンが浮かんでくるようだった。
おもしろかったが、ドラマや映画にする場合、箱根駅伝のシーンを撮影するのは大変そうだから映像化はムリかな・・・